345 days

おふぃすれでぃーとして勤労に励んでいましたが、2018年8月に娘を出産。2019年9月、フルタイム復帰しばたばたと過ごしています。

「ゼロ・ダーク・サーティ」を観てきたじょ!

キャスリン・ビグローといえば、「K-19」「ハートロッカー」なんかの骨太な映画を撮る女性監督なんだけども、この間ちょうど映画館で最新作「ゼロ・ダーク・サーティ」を観てきました。 数年前に観た「ハートロッカー」についても一緒にちょっとふりかえっていこうかな、と。 ごきげんよう。 みよコです。 というわけで、最初は「ゼロ・ダーク・サーティ」について ゼロダークサーティ 2012年/米/監督キャスリン・ビグロー 原題"Zero Dark Thirty"/158分/PG12

2011年5月2日に実行された、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦の裏側を、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が映画化。テロリストの追跡を専門とするCIAの女性分析官マヤを中心に、作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念を描き出していく。9・11テロ後、CIAは巨額の予算をつぎ込みビンラディンを追うが、何の手がかりも得られずにいた。そんな中、CIAのパキスタン支局に若く優秀な女性分析官のマヤが派遣される。マヤはやがて、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかむが……。 (映画.comより)

==== 前作とは違った趣で、まずとても感じたのは観客に緊張感と共に「待つ」ことを強いる?ということ。 …というとなんだか表現がよくないけど、敢えて長尺(2時間超え)でストーリーを描いたのは、女性捜査官マヤが暗中模索しながら具体的な手を打てず、「待つ」ことしかできない姿を緊張感を失わせずに表現するためではないかな、と。 2時間半、終始緊張感がすごかった。 ホロコーストを描いた映画でもなんかあったっけね、タイトル忘れちゃったけど。 その映画は映画自体が9時間(!)もある大作で、観客が鑑賞するのに苦痛を強いられるという体験を通して、疑似的にその映画で描かれる人々の苦痛を表現するという、そんな映画でした。 そして、物語は終始禁欲的に描かれていきます。 つまり、わざとらしい爆発・スリルあふれるカーアクションなどなど、ハリウッドアクション映画的カタルシスは一切なく、じわじわとターゲットであるビンラディンに近づいていく。 一番のクライマックスである、ビンラディン捕獲?殺害?の瞬間でさえも、それが貫かれる。 劇的でドラマティックなことはなくて、捕虜への扱い、上司の無理解、身の危険、ひとつひとつがマヤのエネルギーを奪っていく。その現実感。そこがいいですね、とても(笑) 最後に。 女性捜査官マヤのキャラクターがいい。 最初はマヤは私たち観客と同じ立場で、捕虜の拷問に嫌悪感を示すけど、時間が経ち、やがて自分が同じ手法で捕虜を拷問する、というシーンはとても印象的だった。 男社会の捜査官の中でのやりとりも「あ、この人は一癖あるな」と思わせる。(笑) 自分の手の中にあったプロジェクトが事が大きくなり時が経つにつれて、自分一人の手ではたちゆかなくなる。 どんどん政治的横やりが入ってくる。 そういう一連の流れも、マヤの切迫感を伝えてくる。 正しいと思う自分の方向性を貫くために上司の意見をねじ伏せる、プレッシャーをかける。 彼女のそういうシーンはすごく好き。(笑) …というわけで、ものすごい社会派娯楽映画でした。 残念ながらアカデミーは逃したけど、未だの人は一見の価値あり。 「K-19」は、あんまりだけど、「ハートロッカー」、そしてこの「ゼロ・ダーク・サーティ」はおすすめです。